RaaSとは?ランサムウェア攻撃が“ビジネスモデル化”する新たな仕組みを解説

近年、ランサムウェア攻撃が増加し、これまで以上に多くの企業が被害に遭う機会が増えっています。
一見、攻撃者の技術力が上がったように思われますが、実際には「攻撃そのものがビジネスモデル化し、誰でも実行できる時代になった」ことが背景にあります。
その中心にあるのがRaaS(Ransomware as a Service)です。
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なぜランサムウェア攻撃が増えているのか?

ランサムウェア攻撃が増え続けている背景には、攻撃そのものが「収益ビジネス」として成立してしまったことがあります。身代金は被害企業が支払うため、成功すれば確実に利益が得られ、犯罪者側にとってリスクよりリターンが上回る構造ができてしまっています。
その結果、参入者が増え、攻撃件数も年々増加していると考えられています。
攻撃者のスキルが不要になった「サービス化」の影響

かつてランサムウェア攻撃を行うには、マルウェア作成や侵入経路の確保など高度な技術が必要でした。しかし現在は、攻撃の成功率が高い手口やツールが「パッケージ化」され、専門知識を持たない人でも攻撃できる状況が広がっています。
技術の壁が下がると参入者が増えるため、攻撃数の増加にも直結します。
情報を盗んで脅す「多重脅迫」が標準化
従来のランサムウェアはデータを暗号化し、復号の代わりに身代金を要求するものでした。
しかし現在主流となっているのは、暗号化に加えて「盗んだデータを公開する」という二段構えの手口です。
【多重脅迫型の一般的な流れ】
- 社内ネットワークへ侵入
- 機密データを盗み出す
- データを暗号化して業務を止める
- 「盗んだ情報を公開する」と脅して身代金を要求
たとえ身代金を支払っても情報を公開される事例も増えており、早期の攻撃検知や侵入前の防御がこれまで以上に求められています。
RaaSとは?攻撃を“簡単にする仕組み”として広がるビジネスモデル

ランサムウェアの増加を支える要因として、RaaS(Ransomware as a Service)と呼ばれるビジネスモデルが存在しています。
RaaSがどのように成り立っているのか、その仕組みを紹介します。
攻撃ツールを提供する仕組み

RaaSは「ランサムウェア攻撃をサービスとして提供し、報酬を得るビジネスモデル」です。構造は非常に明確で、犯罪でありながらビジネスとして成立しています。
RaaSの仕組み
- 運営者(開発者):ランサムウェア本体やツールを作る
- 利用者(加盟者):ツールを購入または契約して攻撃を実行
- 利益分配の仕組み:成功すれば身代金の一部を運営者に支払う
ツールを「売る側」と「使う側」を分けることで、市場化・収益化の仕組みが完成しているのが特徴です。
テンプレ・GUI・サポートで初心者でも攻撃可能に

RaaSが攻撃のハードルを下げているのは、提供される機能が極めて充実しているためです。利用者は対価を払うだけで、次のような機能を手に入れられます。
RaaSで提供される代表的な機能
- クリック操作で攻撃を実行できるGUI
- 手順書付きの攻撃マニュアル
- 初心者向けテンプレート攻撃
- トラブル時のサポート窓口
- 攻撃状況や収益を確認できるダッシュボード
RaaSの仕組みがここまで整っているため、専門知識がない人でも攻撃を実行できてしまうという異常な状態が生まれています。
企業はどう備えるべきか?

RaaSによるランサムウェア攻撃対策は「高度な専門知識が必要」と思われがちですが、まず押さえるべきは “入口対策”と“被害最小化”の2点です。
入口対策(メール/ID管理)を最優先に

RaaSによる多くの攻撃が、今もメールを入り口としています。
【ランサムウェア攻撃に使われる手口の例】
- メールの添付ファイル
- 偽装された請求書メール
- 「取引先を装う」巧妙ななりすまし
これらに加えて、IDとパスワードの使い回しも深刻なリスク要因です。
以下の2点の対策を優先して行いましょう。入口対策は基本的な対策ですが、効果が高く優先度も高い対策です。
【RaaSに対抗する入口対策】
- メールの安全性強化(添付ファイル/URLの対策)
- 多要素認証(MFA)の導入
被害を最小化する仕組みを整える(バックアップ・EDR)

RaaS時代は「侵入される前提」で備えることが現実的です。バックアップがあれば、身代金を要求されても支払わずに復旧できる確率が上がります。
被害を最小化するためには、以下の対策が有効です。
- クラウドや専用バックアップ環境へのバックアップ
- 定期的な復元テスト
- 侵入後の挙動を検知するEDR(Endpoint Detection and Response)を導入
情シスの有無に関わらず、外部との“分担”が現実的

攻撃が巧妙化し、件数も増えている現状では、RaaSの攻撃に少人数のメンバーで対応していくことは大変困難です。サイバー攻撃に加わるハードルが低くなった今、攻撃回数は以前より増加すると予想されます。
以下の対策において、外注との分担を取り入れるのも現実的な選択肢であり、企業の資産を守る有効な手段です。
【外注検討の例】
- クラウドやメールの設定最適化
- アクセス監視やログ監視
- パッチ適用や脆弱性の定期チェック など
RaaS時代のサイバー攻撃に備えるなら、まずメール・クラウド対策を強化

ランサムウェア攻撃の多くは、メールやクラウドを経由して侵入します。特にRaaSによって攻撃手口がテンプレ化されている現在では、入口となるメールやクラウド環境の強化が欠かせません。
サイバー攻撃への対策を強化したい方は、株式会社サイバーウェイブジャパンへご相談ください。
株式会社サイバーウェイブジャパンでは、次のようなサービスをご用意しています。
- 未知のウイルスを検知するサンドボックスを備えたメールシステム
- 添付ファイルのスキャンを行うシステム
- セキュリティに配慮したクラウドストレージ など
メールやクラウドのセキュリティを強化するための各種サービスをご用意しています。
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この記事のポイント
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1.ランサムウェア攻撃が増えている理由は?
身代金を要求するランサムウェア攻撃が増えている主な理由は、「攻撃が収益ビジネス(RaaS)として成立している」ためです。身代金は被害企業が支払うため、成功すれば確実に利益が得られ、参入者が増える構造が生まれています。
詳しくは「なぜランサムウェア攻撃が増えているのか?」をご覧ください。
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2.RaaSとはどんな仕組み?
RaaS(Ransomware as a Service)は、ランサムウェア攻撃をサービスとして提供する「ビジネスモデル」です。
攻撃ツールの開発者と、攻撃を実行する利用者に分かれ、成功報酬を分配する仕組みが整っています。【ポイント】
- 開発者と実行者の分業でビジネス化
- GUIや手順書つきで初心者でも攻撃可能
- 多重脅迫など高度な攻撃手法もテンプレ化
詳しくは「RaaSとは?攻撃を“簡単にする仕組み”として広がるビジネスモデル」をご覧ください。
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3.企業は何から対策すべき?
RaaS時代は「侵入を完全に防ぐ」よりも、「入口対策」と「被害最小化」への対策の実施が現実的です。
【ポイント】
- メール対策と多要素認証(MFA)が入口対策の最優先
- バックアップとEDRで被害を最小化
- サイバー攻撃への対策は外注との分担が現実的
詳しくは「企業はどう備えるべきか?」をご覧ください。
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4.国産クラウドサービス「UltraBox」のメリットは?
株式会社サイバーウェイブジャパンが提供する、国産クラウドサービス「UltraBox」のメリットは以下の通りです。
- 国内データセンターでデータを管理し、国内運用体制を整備
- 安全に配慮したファイル共有、アクセス権管理、バージョン管理を実現
- PC・スマホ・タブレットから利用可能で、脱PPAP対策にも有効
詳しくは「国産クラウドサービスについて」をご覧ください。
ランサムウェアによる身代金要求について、対策のご相談は、株式会社サイバーウェイブジャパンまで、お気軽にお問い合わせください。
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