チャット全盛でも“メールでなければダメ”な5つのシーン

リモートワークの普及や、より効率的なコミュニケーションを求める流れから、チャットツールが急速に普及し、社内のちょっとした連絡や情報共有にはチャットが活用されるようになりました。
スタンプやリアクションで即座に返答できる気軽さや、会話のスピード感はチャットならではの魅力です。また、脱PPAP対策として「パスワードをチャットで共有し、ファイルはメールで送る」といったハイブリッドな運用を取り入れる企業も登場し、シーンに応じた使い分けが進んでいます。
しかし、便利さやスピードが重視される一方で、ビジネスの現場には「やはりメールでなければならない」場面が確かに存在します。ここでは、チャットではなくメールが必要とされる代表的な5つのシーンをご紹介します。
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1.契約・取引の正式な記録

契約交渉や取引条件の合意は、将来的にトラブルが発生した際の重要なエビデンスになります。チャットのやり取りはスピード感に優れる一方、正式な証拠として提示するにはログの形式や保存性に課題があります。
スクショ保存では安心できない理由
PDF化やスクリーンショットで残すことも可能ですが、画像は修正や合成が可能です。
そのため、誰がいつ送信したのか、確実に相手に届いたのかといった証拠性を担保するには十分ではありません。
法的なエビデンスとしてはメールのほうが「信頼性が高い」と言えるでしょう。
メールを証拠に自社を守る
メールは「誰が・いつ・どんな内容を送信したか」がヘッダー情報として明確に残ります。さらに、企業向けのメールシステムではアーカイブや監査ログ機能が整備されており、後から検索・確認が容易です。
特に、取引基本契約や金銭の授受に関わる条件交渉などは、万一の紛争時に自社を守る根拠となります。こうしたやり取りは、メールで残しておくことがリスク管理上不可欠であり、まさに企業にとっての「生命線」となるのです。
2.見積書や請求書の送付

見積書や請求書といった文書は、単なる業務連絡にとどまらず、企業会計上の証憑として長期保存が求められる重要なものです。チャットツールの利便性が増す中でも、これらのやり取りに関しては依然として「メールでなければならない」理由があります。
法律が求める「長期保存」
見積書や請求書は電子帳簿保存法に基づき、最長10年間の保存が義務づけられています。ただ保存するだけではなく、必要な時にいつでも検索できることも保存要件の一つです。
メールであれば、サーバやクラウドサービスのアーカイブ機能により長期保存や検索が可能です。一方で、チャットツールで10年単位の履歴を完全に保持し続けることは難しく、ここがまずメールを選ばざるを得ない根拠となります。
チャットでは埋もれるリスク
仮にチャットで送付した場合、日常のやり取りに埋もれてしまったり、ファイルのバージョン管理が複雑化したりといった不都合が生じやすくなります。
これでは「確実な保存」「やりとりの前後関係まで確認できる明確な保存」という要件を満たしにくいため、取引情報が含まれるやりとりの長期保存にはメールの利用が不可欠です。
3.フォーマルな顧客対応

新規の顧客や役職者とのやり取りには、やはり一定のフォーマルさが求められます。チャットは気軽で便利な反面、会話の延長線上で断片的になりやすく、相手に「情報が整理されていない」という印象を与えるリスクがあります。
メールは“一通で全体像が伝わる”設計
メールは基本的に「見返す前提」で作成されるため、件名・本文・署名といった要素が整い、必要な情報が一通の中に整理されています。受け取った相手は、内容をまとめて確認できるので、後から読み返したときにも理解しやすいのが大きな特徴です。
信頼を形にするツール
営業活動や採用活動の初期段階では、メールのフォーマルな文面が企業の信頼性を伝える手段となります。社名や署名が添えられた一通のメールは、相手に「この企業はきちんとした組織である」という安心感を与え、次のコミュニケーションにつながる信頼の土台を築きます。
4.社外の取引先とのやり取り

取引先がどのチャットツールを導入しているかは企業ごとに異なり、自社がTeamsを使っていても、相手がSlackであれば直接つながることはできません。チャットツール間の相互運用は、まだ十分に整備されていない現実があります。
その点、メールはインターネット環境さえあれば誰でも利用でき、取引先を選ばない“ユニバーサル”なツールです。業種や企業・個人を問わず確実に届く手段として、いまなお外部とのやり取りに欠かせない存在となっています。
5.法的エビデンスとして残す必要がある場面

訴訟リスクや監査対応を考えた場合、ビジネス文書の保存は組織として欠かせない取り組みです。個人ベースではチャットのログも証拠になり得ますが、システム依存度が高く、保存形式や保持期間に制限があるため、組織全体の監査ログや証跡管理には不向きです。
その点、メールは長期保存や検索性に優れ、標準化された形式で管理できるため、監査や調査の際に組織的に活用しやすい仕組みとなっています。
特に金融業界や公共機関など規制の厳しい分野では、今もメールを前提とした業務フローが主流です。内部統制やコンプライアンスを維持する上でも、メールは企業全体を守るインフラとして欠かせない存在といえるでしょう。
チャットとメールの共存という現実

ここまで「メールでなければならない」場面を見てきましたが、一方でチャットが有効なシーンも少なくありません。社内のちょっとした確認や進捗共有、ブレストのようにスピードが求められる場面ではチャットが強みを発揮します。重要なのは両者の適切な使い分けです。
「スピードと気軽さのチャット」「正確性と保存性のメール」と役割を分けることで、効率と信頼性を両立できます。
さらに「脱PPAP」の流れの中では、チャットや専用ツールが安全なファイル授受の手段として注目されています。たとえば大容量ファイルはメールでURLを通知し、パスワードをチャットで送るといった分離送信で、従来のZIP方式より高いセキュリティを確保できます。
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チャットが主役となる場面は確かに増え、スピード感や手軽さから日々の業務に欠かせない存在になっています。しかし、契約書の送付や顧客対応、法的な証拠が求められる場面では、依然として「メールでのやり取りが必須」です。
メールとチャットは対立するものではなく、それぞれの強みを活かして共存することが重要です。ビジネスの信頼性を支える基盤として、セキュリティを備えたメールシステムは今後も欠かせません。
高いセキュリティ基準を満たすメール環境をお求めの方は、サイバーウェイブジャパンへご相談ください。

この記事のポイント
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1.契約や取引の正式な記録はメールで残すべき?
契約交渉や取引条件の合意は、将来トラブルが起きた際の重要な証拠になります。メールで残すべき理由は以下の通りです。
- 誰が・いつ・どんな内容を送信したかがヘッダー情報として明確に残る
- PDF化やスクショでは改ざんの可能性があり、証拠として不十分
- アーカイブや監査ログ機能で後から検索・確認が容易
詳しくは「1.契約・取引の正式な記録」をご覧ください。
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2.見積書や請求書の送付はチャットでなくメールで行うべき?
見積書や請求書は会計上の証憑として長期保存が必要です。メールで見積書や請求書を送付する理由は以下の通りです。
- 電子帳簿保存法に基づき、最長10年の保存要件を満たせる
- サーバやクラウドのアーカイブ機能で検索や確認が容易
- チャットだと履歴に埋もれ、必要な時に見つけにくい
詳しくは「2.見積書や請求書の送付」をご覧ください。
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3.フォーマルな顧客対応もメールが向いている?
新規顧客や役職者とのやり取りには、整理された情報伝達と信頼性が求められます。
【メールが向いている理由】
- 件名・本文・署名が整い、一通で全体像を伝えられる
- 文面そのものが企業の信頼性や安心感を伝える手段になる
- 後から見返したときに、内容を整理して確認できる
詳しくは「3.フォーマルな顧客対応」をご覧ください。
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4.社外の取引先とのやり取りもメールが有効?
以下の理由で、メールのやりとりもできるほうが有効です。
- インターネット環境さえあれば誰にでも届くユニバーサルな手段
- ツールに依存せず、相手の環境を問わず送信可能
- 重要な情報のやり取りが確実に行える
取引先が使用するチャットツールは企業ごとに異なるため、互換性の問題があります。
詳しくは「4.社外の取引先とのやり取り」をご覧ください。
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5.法的エビデンスとして残す必要がある場面もメールが適切?
訴訟リスクや監査対応を考えると、組織全体での文書保存は必須ですが、メールのほうが保存や検索に役立ちます。メールでのやりとりをおすすめする理由は以下の通りです。
- 長期保存や検索性に優れ、標準化された形式で管理可能
- 組織全体の監査ログや証跡管理に対応しやすい
- 金融業界や公共機関など規制の厳しい分野でも業務フローの基盤となる
詳しくは「5.法的エビデンスとして残す必要がある場面」をご覧ください。

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