ISO27001だけじゃ足りない?サプライチェーン攻撃に備えるメールセキュリティ

現代ビジネスにおいて、情報セキュリティは企業の信頼と存続に直結します。自社の対策やISO27001取得だけでは不十分で、近年増加する「サプライチェーン攻撃」への警戒が不可欠です。
この攻撃は、物流にとどまらず、ソフトウェアやシステム、クラウド、データ連携など、ITでつながるさまざまな要素を悪用します。
もはや、自社だけでなく、取引先や協力会社を含むITを介した関連企業全体のセキュリティ対策が問われる時代となりました。そのため、情報セキュリティ監査の視点も、単なる自社の守りにとどまらず、全体像を見据えた監視体制へと進化する必要があります。
本コラムでは、進化する監査のポイントと、関連企業全体でセキュリティを意識する重要性を解説。また、サプライチェーン攻撃から企業を守るメールセキュリティの役割にも迫ります。
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監査の視点が変わる:ISO27001取得はゴールではない理由

かつて情報セキュリティ監査は、ISO27001のような情報マネジメント規格に基づき、自社の情報資産保護に焦点を当てていました。多くの企業がこの国際標準を取得し、セキュリティ体制を客観的に示してきたことでしょう。
しかし、現代ビジネスではクラウド活用やグローバル連携が進み、企業間のITシステムやデータ連携といった「デジタルなつながり」が複雑化しています。
「自社だけ守れば良い」という考えは、もはや通用しません。監査の視点は、ISO27001に加えて、自社から一歩踏み込み、取引先や協力会社を含む「関連企業全体のセキュリティ連携」へと、より広範かつ深く進化しているのです。
監査の視点が変わる主な理由は以下のとおりです。
サイバー攻撃の高度化と広がり
サイバー攻撃は年々巧妙化し、そのターゲットも拡大しています。特に増えているのが、大企業を直接狙わず、セキュリティが手薄な関連企業を「踏み台」にする「サプライチェーン攻撃」です。
この攻撃は、ITシステムやソフトウェアの脆弱性、あるいは企業間の信頼関係を悪用し、最終ターゲットへの侵入を試みます。
これにより、自社だけでなく、IT上のつながりを持つ全ての組織のセキュリティレベルが問われるようになりました。企業は、自社の情報セキュリティがこの「サプライチェーン」全体の脆弱性にならないよう、積極的な対策見直しが求められます。
DXの加速とクラウド利用の拡大
DX推進に伴い、クラウドサービスやSaaS利用が主流となり、データが自社管理外に置かれるケースが増加しました。
この環境変化は、データ連携の複雑化やアクセス経路の多様化といった新たなセキュリティ管理課題を生んでいます。結果として、監査では、クラウド環境におけるデータの所在やアクセス権限設定の「適切性」が、より厳しく問われるようになっています。
法規制の強化とグローバル化
個人情報保護法の改正(2025年改正など)に伴い、個人情報の漏洩に対する罰則強化や、事業者の義務拡大が進んでいます。
メールを介した個人情報のやり取りは常にこの法律の対象となるため、監査では、その取り扱いに関するコンプライアンス遵守状況が厳しく問われるようになっています。
グローバルビジネスを展開する企業にとっては、GDPR(EU一般データ保護規則)など海外のデータ保護規制への対応も、重要な監査項目です。
ESG経営の重視
環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の観点から企業価値を評価するESG投資が拡大する中で、情報セキュリティは「ガバナンス」の重要な一部と見なされています。
情報漏洩は企業の信頼性、ひいては企業価値を大きく損なう要因となるため、監査の対象となります。
このような背景から、情報セキュリティ監査は、単なる規定遵守に留まらず、実効性のあるリスクマネジメント体制の構築、関連企業全体のセキュリティ状況の把握、そして継続的な改善活動にまで踏み込むようになっています。
情報セキュリティ監査における「メール」の重要性とチェックポイント

企業間の主要なコミュニケーションツールであるメールは、情報セキュリティ監査において非常に重要なチェックポイントとなります。なぜなら、メールは情報漏洩の主要な経路であり、サイバー攻撃の主な侵入経路でもあるからです。
関連企業全体でのセキュリティが問われる今、自社だけでなく、取引先とのメール連携を含め、以下の点においてメールセキュリティの運用が適切であるかが厳しく問われます。
情報漏洩対策の実効性
メールを通じた情報漏洩は、自社からの流出だけでなく、取引先への誤送により発生することもあります。関連企業の信頼を維持するため、以下の点について実行できているかチェックしなければなりません。
誤送信防止策
- 宛先間違いや添付ファイルの付け間違いなど、ヒューマンエラーによる情報漏洩を防ぐ仕組みは確立できているか
(例:送信保留機能、宛先確認アラート、添付ファイルの自動暗号化) - 取引先との間で機密情報を安全にやり取りできる仕組みが確立できているか
機密情報管理
- 個人情報や機密情報を含むメールの送信ルールは明確か
- これらの情報がメールで外部に漏洩しないための技術的対策は講じられているか
- 取引先との情報共有時にも、適切なセキュリティレベルが維持されているか確認できているか
サイバー攻撃への防御体制
サプライチェーン攻撃は、メールを起点とすることが多々あります。自社が防御できていても、取引先の脆弱性から被害が及ぶリスクがあるため、より広範な視点での対策が求められます。
不正メール対策
- 多様な手口の攻撃メールを高い精度で検知・排除できる体制になっているか
例:多段フィルタリング、サンドボックス分析)
フィッシング詐欺メール、標的型攻撃メール、ビジネスメール詐欺(BEC)などを含む迷惑メールに対して、対策ができているかがチェックポイントになります。
自社だけでなく、取引先からのメールが攻撃の経路とならないよう、送受信双方での対策が重要です。
マルウェア対策
- 添付ファイルやURLからのマルウェア感染を防ぐ仕組みは十分か
取引先から送られてくるファイルやURLにも潜むリスクを想定し、送信前の添付ファイルのウイルススキャンや送付方法の工夫など、堅牢な対策が必要です。
情報管理とコンプライアンス遵守
監査では、関連企業全体における情報管理の透明性と責任を明らかにすることが重要です。メールは、その記録と証拠の中心となります。
メールのアーカイブ・ログ管理
- メールの送受信履歴や本文が適切に保存・管理されているか
- 監査時に必要な情報を速やかに検索・提出できる体制か
アクセス管理
- メールアカウントへの不正アクセスを防ぐための認証強化(多要素認証など)はされているか
- 退職者アカウントの適切な処理が行われているか
従業員教育
- メール利用に関するセキュリティポリシーが従業員に周知され、実践されているか
メールセキュリティこそが、企業価値を守る「要」

情報セキュリティ監査は、もはや義務的なものではなく、企業の情報ガバナンスと企業価値を向上させるための重要なプロセスです。
企業の価値を守るために、サイバー攻撃の入り口となりやすい「メールセキュリティ」を時代に合わせて強化していく必要があります。自社のみならず、サプライチェーン攻撃に備えるために、関連会社全体で歩調を合わせて取り組むことが重要です。
サイバーウェイブジャパンでは、お使いのメールにプラスで使える「ダントツセキュリティ」や「CWJ Secure On(セキュアワン)」などのセキュリティ関連サービスを展開しています。
ISO27001などの認証取得を目指す企業、サプライチェーン全体のセキュリティ強化を推進する企業の方で、どのようなセキュリティサービスを追加すべきかお悩みの方は、ぜひサイバーウェイブジャパンへご相談ください。

この記事のポイント
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1.メールセキュリティの監査の視点を変えるのはなぜ?
サイバー攻撃の高度化と広がりや、DXの加速とクラウド利用の拡大、法規制の強化とグローバル化やESG経営の重視など、社会の変化に伴い、自社だけではなく、サプライチェーン攻撃に備えて、関連企業全体のメールセキュリティ対応が求められているからです。
退職者のアカウント管理では、単なる削除だけでなく、後任者へのメールやデータの引き継ぎも不可欠です。情報漏洩や顧客対応ミスを防ぐため、退職時の対応フローを明確にしておきましょう。
詳しくは「監査の視点が変わる:ISO27001取得はゴールではない理由」をご覧ください。
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2.情報セキュリティ監査におけるチェックのポイントは?
- 情報漏洩対策の実効性
- サイバー攻撃への防御体制
- 情報管理とコンプライアンス遵守
詳しくは「情報セキュリティ監査における「メール」の重要性とチェックポイント」をご覧ください。
メールの運用に関してお悩みの方は、株式会社サイバーウェイブジャパンまでお気軽にお問い合わせください。


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